子育て1番、仕事は2番
味噌作り会の当日、今日も早朝から、作業の傍らで、お話を伺います。
48時間しっかりと吸水させた大豆を、アクを取りながら10時間かけて弱火でじっくり煮込んでいく作業です。
今回使用した大豆は、飯能で自然農園を営んでいる「小島農園」さんから購入したもの。
中村さんは、名栗小学校の卒業生。そして名栗小学校PTA会長を務めたこともある、我々にとっての先輩でもあります。名栗地区、そして名栗の子どもたちに対する想いを聞いてみました。
ーー PTA会長をやられていた時は、子どもは何人くらいいたんですか?
僕が会長の時はね、全校児童で115人でしたね。ちょうどその時、校舎の建て替えがあって、引っ越しPTAなんて呼ばれてたんですよ。図書室の本、先生たちと一緒にみんなで運び出したりして。あの時代も色々やってましたよ。
ーー 今回、名栗小の子どもたちに味噌作りを教えることについて、何か想いはありますか?
やっぱり本物食えばわかるから。子どもは敏感だから、やっぱ子ども時代にね、本物食べさせてやりたいなって。うちの味噌は麹が活きたままの生味噌だから。食べた人はみんな言ってるけど、まず風邪ひかなくなる。
ーー ご自身も名栗で育って、名栗で子育てもされてきて、改めて名栗、どうですか?
趣味を持ってれば、こんなに面白いところはないよね。たとえばバイクが好きな人にとっては、玄関開けたら鈴鹿サーキットの第1コーナーにいるようなもんだよ。俺なんかは、釣りが当時もっと好きだったから、子どもが小さい時に、とんでもないところ連れてったもんな。すごい崖を降りていったりして。今でもそこを、息子と一緒に通りかかったりすると、「親父、俺たちあそこ降りてったんだよな。」なんて言われることあります。
ーー 親子で一緒にアドベンチャーなんて最高ですね。
親父、おふくろさんが楽しく生きてると、子どもに伝染するんですよ。
大変だと思うんだ、子どもがちっちゃいうちは。でも今思い返すとしたら、その時代のことしか思い出せない。究極のね、僕の意見だけどね、子育て1番、仕事は2番でした。取り返しがつかない。うん、そう言ってあげたい人が多いかな。
10時間かけて、じっくりと大豆の芯まで火が通りました。もうすぐ子どもたちがやってきます。
いよいよ子どもたちと味噌づくり
さあ、ここからは中村先生の味噌作り教室です。
「はい!みなさんいいですか?これから味噌を作ります。味噌というのは、米麹、大豆、塩で作ります。みんな麹って知ってる? 知らないよね? 麹は菌です。カビの仲間なんだけど、良いカビです。それが今、発酵器の中で、繁殖して最高の状態になってます。今日は、それを使って味噌を作ろうと思ってます。まずは、大豆を潰します。」
中村さんの軽快なトークに、大人も子どもも、どんどん引き込まれていきます。
大豆はミンサーという機械で、ミンチ状にします。
「モンブランみたい!」と子どもたち。確かに!
これが、5日前に仕込んだ米麹。しっかりと菌糸が伸びています。
初めて見る、麹の様子に、子どもたちは興味津々
「いい質問だねえ〜!」大豆が冷めるまでの間、子どもたちの質問に答えていただきました。
大豆の粗熱が取れたら、いよいよ作業開始。材料を、まんべんなく混ぜ合わせます。
子どもたちの笑い声で、麹もきっと楽しい気分になったはず!
均一に混ざったら、手のひらサイズの味噌玉にして、
余計な空気を抜くために木樽に投げ入れます。勢いよく、でも優しくね。
木樽に封をする
味噌作りの締めくくりに、大切な作業があります。
木樽に封をするための米袋に、作業に携わった全員が、それぞれ思いを込めながら名前を記していきます。
封を閉じたら、あとは8ヶ月間なにもすることはありません。
麹菌の力で、味噌が熟成するのを待つのみ、です。
ついに、名栗小学校の手前味噌、仕込み完了です。
秋に学校給食で提供します。
僕らはみんなで生きている
地域の仲間と味噌を作るという体験を通して、感じたことがあります。
それは僕らはみんなで生きているということ。
僕たちは、大きな生命の営みの流れの中にいて、偶然、同じ時代を生きている。
そんな「今」という時間を、世代を超えて地域の方々と共に過ごし、共に分かち合う。
作業が終われば、それぞれの家に帰り、それぞれの生活に戻ります。でも、味噌が出来上がるまで、心のどこかに同じワクワクを共有している。あの木樽が僕たちを繋いでくれている。それは、なんと美しいことなのでしょう。
人間の手仕事、自然界の仕組み、そして時の流れ。それぞれが持っている力が混ざり合って、ゆっくりと味噌は出来上がっていきます。
それでは最後にもう一度。
ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!
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電話番号 | 042-979-0164 |
定休日 | 不定休 |
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