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教えて!校長先生!#2

名栗小学校の校長、水島岳史先生に、聞いてみたいことを聞いてみるインタビュー連載企画の第2回目です。【前回インタビュー記事はこちら

実は、水島校長先生は、この3月で、ご退職されることとなりました。でも、水島先生に聞きたいことが、まだまだたくさんあります。我々は、慌ててインタビューを申し込みました。
これが、水島先生への最後のインタビューになります。

名栗小学校で校長先生として過ごしたこの数年間、水島先生は、何を見つめ、何を感じていたのでしょう。振り返っていただきながら、色々なお話を聞くことが出来ました。

そして、後半には、嬉しいサプライズが。

今回のインタビュアーは、石川、石田、山本、吉田です。


本当に楽しい4年間でした

今となっては、もう本当にありがたい、楽しい4年間でしたね。
前回も、ちょっと話したかもしれませんが、子どもたちは、めちゃめちゃ可愛いし、保護者の方も魅力的だし、協力的だし。悔いが残るとすれば、もっともっと外に連れ出したかったなって思ってはいるんですけれども。例えば、餅つきとかお茶摘みとか、毎年できたろうなと思うし。
筍掘って筍ご飯とか、干し柿とか、秋刀魚焼いたりはやったんですけどね。そんなことを、もっともっと、たくさんやってあげられれば良かったかなと思ってます。

違う違う、秋刀魚はあくまでもサブ。(笑)
大根が収穫できた時に、この大根で何したい?って子どもたちに聞いたら、6年生がサンマを焼いて、そこに添える大根おろしにしたいですって言うから、じゃあサンマは俺が買ってきてやるよって。
それで、炭焼き小屋から炭を取ってきて、学校にあった七輪でパタパタやって。隠れてやってたんだけど、最後、理科室から見てた4年生とかに見つかって、 俺たちも!って言うから、その次の代までやったかな。

いくらでもあるよね。で、また協力してくれる人がいるし、特技のある人がいっぱいいるから、パッとできちゃうんですよね。

そういう時は、やっぱり子どもがイキイキしてるでしょ。楽しそうな子どもの顔を見るのが嬉しくてしょうがない。やっぱり教室とは顔付きがぜんぜん違う。だから、授業も、もっと内容を工夫するとか、もっと夢中になれるようなやり方を考えていきましょうよっていうところに、やっと入ったところなんだけどね。

ただ、それにはまず、人間関係とかさ、良いところを認めてもらうとか。自分が居られるっていうのが前提じゃないですか。だから、この4年間、先生たちに話してきたのは、子どもたちを、まず受け入れましょうよっていうこと。それは、 学校の雰囲気として、先生方の意識として育ってきてるかな。そう思うし、思いたい。

俺もこの学校だったらいいなと思うよ。うん。子どもの時にね。


うちの職員室は、ほんとに楽しいんです

まあ、でも失敗したなと思うのは、赴任した最初の頃の、先生方への接し方かな。あれもやろう、これもやろう、これもこれもこれじゃいかん、みたいな。 ちょっと熱くなり過ぎていたので、ちょっとかわいそうなことしたかな。今はなんでもいいよいいよって言えるんですけどね。その時は、こうあるべきだとか、こうしなきゃいけないとか、こうしようよってのが強すぎて、うまくいかなかったりってことがありました。

理想っていうか、もう、やりたいことはいっぱいあったので。でも、だんだんと理解してもらえるようになってきたかなという気はします。例えば、子どもの所見ってあるじゃないですか。あれの書き方が変わってきたんですよ、だんだん。杓子定規な定型文で書いてた先生が、ああ、この先生は、子どものこんなとこ見てくれてるんだとかって。内容が変わってくるんですよ。子どもの良さを上手に見て取れなかった人が、 だんだん、こういうことがあって、こうで、こうでって。うん、子どもの見方がどんどん良くなっているような気がします。やっぱり、先生が変わらないと、学校も、子どもも変わらないですよね。

うちの職員室は楽しいですよ。 毎日毎日大笑いしてる。その中で、子どもたちの話もいっぱい出るしね。でも、職員室だけじゃなくて、例えば、うちは職員も全員外に出て雪合戦してますからね。それもね、美しいなあと思う。普通なかなか年配の先生とか出てくれないことが多いんですけど、 本当に全員で、職員も子どもも全員。

それは、すごく大事なことですよね。

そうなるといいですね。でも実際、一回どこか大きい学校に行って勉強したら、また戻ってきたいって言ってくれてる先生はいるんですよ。そういう風に言ってもらえると、本当に嬉しいですね。


小さい学校にできること

そうですね。明日も来ますってね。「わりい!明日土曜日だから!」って言ってね。ごめん、無理だ〜!って。(笑) やっぱりね。すぐに全員の名前覚えられるでしょ。 そういうことが、ほんとに大きいと思いますよ。この間、卒業式でも喋ったけど、その他大勢は1人もいない。誰1人その他大勢にならない学校。

そのかわり大変なんだけどね。 どんどん役が回ってきちゃうから。 でも、それを経験することも大事なことだと思うし、逃げてらんないですからね。ここだと必ず何かの役を、責任を果たさなきゃいけないってことがたくさん生まれてくる。でも、それを評価もしてもらえるし。そういうのは良いと思いますけどね。

それは、子どもは自然にできると思いますよ。他にもいろんなルールあるじゃないですか。名栗ルール。例えば、バスに乗ったらね、ちっちゃい子から順に座らすとか。 誰も学校では1つも言ってないんだけど。
あと、あれだ、横断歩道の押しボタンは車が全く来なくなってから押す。(笑)
これも、もう代々教わってきてる。 車を止めちゃいけないって。これは、最初聞いたとき大笑いしちゃって。え?って。車止めるために押すんじゃないの?と思ったら、違うんだよね。迷惑かかっちゃうから。右見て、左見て、よし、もう、もう、来ないってなってから、押す。(笑)

小さい学校だからこそ、いろんな責任みたいなのが自然に生まれてきて、やんなきゃならないから、いい。すごくいい。意図してる異学年交流じゃないんだけど、いい効果はいっぱい出てる気がしますけどね。ひとりひとり創造性がなきゃいけないし、いろんな人と仲良くしなきゃいけないし、とか、お話もできなきゃいけないし、みたいに。

やっぱり、大人を信頼してる子どもたちは、斜に構えたりしないですよね。子どもがね、そのままで、自分のままで、らしく。皆さんのお子さんは、実に “らしく” いるけどね。少しはさぁ…、っていうのもあるんだけど。(笑)
でも、よっぽどいいですよ。うん。それが1番いいと思いますね。

でも、そういう子は、後で伸びるし、環境が変わっても適応できるんだよね、ちゃんと。中学校行って、ちょっと厳しいこと言われたって、ええ?とは思うんだけど、まあ、それぐらいはやってもいいですよっていう感じでね。それで、後々、勉強も伸びるような感じがします。データがあるわけじゃないから、点数が何点とか、伸び率がどれぐらいどうだ、とかは言えないんだけどね。そんな感じがしてます。


まだ、荷造り終わってないのよ

実は、来年度から海外で日本人学校の担任をやることになってます。

ポーランドです。ポーランドの日本人学校。

チャレンジっていうほどのことでもないです。場所が変わるだけで。やるならやっぱり、校長先生とか、元校長っていうしがらみとかが無いところでやりたいじゃないですか。普通に担任をやりたいなと思ったのは、名栗の子たちのおかげですよ。どう考えても楽しくてしょうがないって。やっぱり子どもの近くにいて、自分の手で、仲良くなったり、助けてあげることができたりとか、それがやりたくて教員になったはずだったなって思い出させてもらった。間違いなくこの名栗小で、ほんと子どもが可愛くてしょうがないって気持ちを思い起こさせていただいたので、それだけですよ。

そうですね。と言っても、まだ、荷造りも全然できてないんだけど。(笑)
まあ、でも、もう俺のことはいいからさ、今日はちょっと、もう1人呼んであるから。







ただいまー!!

突然教室に現れた、この女性は一体…?
(後半へ続く)

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やまもと

なぐりで.編集長 / カメラマン

2022年に名栗に移住しました。妻と、2人の子どもと暮らしています。 普段は映像のカメラマンとして、主に都内近郊で仕事をしています。

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